以前の記事
2008年 04月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 2004年 11月 2004年 10月 2004年 09月 その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ジャズピアニストの本田竹広さんが12日、亡くなられた。
日本のジャズ史の一時代を築き上げた、真の芸術家であったと思う。 ご冥福をお祈りしたい。 彼は国立音大卒である。このころの国立音大は、山下洋輔、古澤良治郎、中村誠一といった数多くの優れたジャズミュージシャンを輩出している。時は1960年代半ば。アメリカ本国ではジャズが完全に認知され、パーカーやアートブレイキー、クリフォードブラウンなどが作り出した一時代を経て、多くのミュージシャンが新たな方向性を模索していたとき。日本でジャズを志す若者は、もはやバップではなくモードからフリーへと目を向けていた。 クラシックの登竜門である国立音大にもアメリカからのジャズ流儀は流れ込み、数多くの「異端」を生むこととなった。まあ大半の学生からも彼らは変わり者として見られていたらしいが。 この話は、実は母から聞いたものだ。母は当時国立音大フルート科に在籍し、一つ上に本田竹広、同期に古澤良治郎、中村誠一がいた。もちろん彼らも単位をとらないと卒業できないからある程度授業には出ていたらしい。 母曰く。本田竹広はバッハを弾かせたら横に出るものはいなかったそうだ。 ジャズという(母とその他大勢にとって)わけわからん音楽をやっているとは言いながらも、クラシックのメインストリームを美しく弾かれてはモテないわけがない。さらにはその長髪とヒッピー風の雰囲気が女の子たちにはミステリアスに映ったのだろうか。母は本田さんと電車がいつも一緒だったそうで、友達のラブレターを渡してあげたことがある、といつも自慢げに言う。 脳内出血で倒れたのは1995年のこと。青山Body&Soulの京子ママが病院に付き添い、一命は取り留めたものの大きな後遺症が残る。さらにはリハビリ中の1997年にも再度の脳内出血。私が本田竹広の演奏を初めて聞いたのはその後のことだ。意のままにならないながらも現れる本田竹広の魂の音。なんだかそれに感動してしまって強烈なライブだった。ドラムスは実の息子である本田珠也。天才的ドラマー。このときはメタリカの、しかもチビTを着ていた。ベースは米木康志。最高に心揺り動かされるライブ。 その後も2度ほどライブを見に行っただろうか。ほぼ半身麻痺に近い状態のため、MCも耳をこらしていないと何を伝えたいのか聞き取れない。ピアノも、体調が悪そうなときは聞いていてしんどいと思ったこともあった。 ただ、本田竹広の魂の光る瞬間を感じに行っていたと思う。 若かりし頃の、パワー溢れ才能溢れる本田竹広の片鱗に触れたかったし、母の見ていた本田竹広を知りたかった。 本田さんは、今年5月にコンサートを企画していたという。鈴木良雄(ベース)、森山威男(ドラム)とのサントリーホール(小ホール)でのライブレコーディングで、「The Great Departure」というタイトルにてCD発売される予定であった。本当のDepartureになろうとは誰も思っていなかっただろうが。このライブの話はおそらく本田竹広にエネルギーを大いに与えるものだったのだろう、12日12時過ぎごろ、本田さんより母上にこのライブについての喜びの連絡が入ったという。そして6時間後、彼は永遠の眠りについた。 バッハを弾かせたら大学一だったのだろうけれども、多分とても優しくてとても不器用な人だったのだと思う。それが彼を創作に駆り立てたし、酒に走らせた。61歳という年は若すぎる、と思うけれど、彼は走り抜いたのだろう。身を削ってね。 音楽に真摯な人だった。人に真摯な人だった。 竹広さんお疲れさまでした。あなたという存在を失うのはとても悲しいけれど、一つだけ伝えたいことが。 本田珠也という天才ドラマーをこの世に残してくれて、ありがとう。 あなたのスピリットは、珠也さんをはじめとして、多くのフォロワーが受け継いでいます。 安らかにお眠りください。
by the-beat-goes-on
| 2006-01-15 03:49
| the_beat_goes_on
|
ファン申請 |
||