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会社の年上の皆様と、期が終わるのに合わせた慰労会にてほのぼのと飲み、飯田橋より乗った中央線にて事件はおきた。
車内は適度に混んでおり、酔って爆睡するサラリーマンもちらほら。立っていくか、と思ったが、よく見ると私の乗ったドアのすぐとなりが、一席、空いていた。 だがその一席の空席をはさみ、日本人のおじさんと女性が口論をしている。英語で。かなり険悪な雰囲気だったが、私は座りたい。 これが日本語の口論だったら口を挟まなかっただろう。英語の口論だと、なんとなく外国で電車に乗っている雰囲気で、向こうの人たちのように思わず口を挟んでしまった。 「ここに座っていい?もしご一緒なら席を詰めてもらえないかな。」 両者ともはっと顔をあげる。女の子が、 「一緒じゃないからここ座っていいよ」と英語で言ってくれた。 険悪ムードの二人に挟まれ、一体何の喧嘩だったんだろう、と頭はフル回転。綺麗な身なりをした20代前半のお嬢様と、65歳くらいだろうか、黒ぶちメガネをかけ白髪の髪を肩まで伸ばした、一見学者風のおじさん。ちらっとのぞくと、歴史の本なんかを読んでいるよう。一方で女の子は、ため息ばかりついている。 ヒントは、この私の座っている席にあるんじゃないか? ここに彼女のボーイフレンドか誰かが座っていて、なにかおじさんの気に入らないことでもしたのかな?本当にこの二人は他人同士か?もう一度聞いたほうがいいかな。ま、でもどっちか降りるときに何かわかるかもしれない。 だがおじさんは、大久保で、その女性に一切声をかけず一瞥をくれるだけで降りていった。ますますわからない。一体なんだったんだ?? と、堰を切ったように女性が話し掛けてきた。 「英語、しゃべれる?よね。ちょっと、聞いてくれる?話して大丈夫?」 彼女の話を聞いて、呆然と愕然とするよりほかなかった。 何が起こったか。事の始まりは、こうだ。 彼女は家族と新橋で食事をし、神田で中央線に乗り換えた。 中央線を待っているときに、彼氏から電話がかかってきた。と、電車がきてしまい、話しながら乗ったけれども彼女曰く乗って10秒15秒の間に、「電車に乗ったからごめんね」と言って電話を切った。 と、隣に座っていたおじさんが彼女にいちゃもんをつけた。 以下、英語 「おい、電車の中で話すな」 「ごめんなさい。切りました」 「お前、どっから来たんだ、どうせチャイニーズかフィリピーナで、日本に不法滞在してるんだろ。」 「いえ、違います。私は半分日本の血が入ってます。日本に住んだこともあるし、合法的に日本に滞在しています。」 「うそをつくな。お前はこんなとこにいるべきじゃないんだよ。電車を降りろ。国へ帰れ、この電車は日本人のための電車だ!」 「????」 フランスで生まれ、UCLAで教育を受け、様々な国の文化に触れてきた彼女。国籍はアメリカ。もちろん不法滞在なんかじゃない。彼女はそこで引けないと思ったらしく、 「あなた、言う相手を間違ってるわよ。私はきちんと教育を受けた人間で、世界のグローバリゼーションを担っていく最初の世代にそんなことを言っていいの?」 などと応酬したらしい。 だが相手は一向に引かず、「お前ら中国人は韓国人は何かと言うと戦争を引き合いに出しやがって」などと罵声を浴びせつづけた、という。私の見た限り、多少のお酒は入っていたかもしれないが酔うほどではなく、酒の勢いでという感じではなかった。 あきれてものが言えない。 おいおいおい、なんだそりゃ〜。 彼女はある程度、私の英語力と同じくらいの日本語力を持っており、日本に住んだ経験もあり、日本の文化や慣習、歴史にもかなり通じているようで、何故そのおじさんがそういった反応をとったのかを自ら分析したらしい。非常にコンサバティブな世代がいることもよくわかっているし、歴史問題に対して過剰な反応をする世代がいることもわかってるけども…、と説明する彼女を止めた。いや、それはそんな問題じゃない。歴史問題とか日本の慣習のはるか、はるか以前の問題。日本人として恥ずかしい。本当に恥ずかしい。公衆の面前で罵倒されなければいけなかった彼女がかわいそうでかわいそうで。 あやまる以外に言葉が思いつかず、日本人として、日本人を代表して、本当に申し訳ない、と伝えた。そのかわり、みんながそうじゃないから。お願い、わかって、日本人をこうだと思わないで。たまにそんなクレイジーな考え方をする人間はいるし、酔っぱらっていちゃもんをつけてくるおじさんはいるけど、そういう一部の人たちを理由に、日本を嫌いにならないでほしい、と。 彼女はそれを聞いてふっと気が抜けたらしい。みるみる間に涙目になり、もう泣きそうなくらい悔しくて悲しくて、どうしていいかわからなかった、と言った。過去色々な国で生活してきたし色々な国を訪れたけれど、どんな国でもこんな経験をしたことはなかった、こんな差別を受けたこともなかった、と。 神田から飯田橋までの数駅間の口論。私が飯田橋にて真ん中に座らなかったら、それに割って入る人もいなかっただろう。そしてそれは更にエスカレートし、大久保まで続いていたのかもしれないと思うとちょっと恐ろしい。 結果的には口論はそこで止まり、彼女は思いの丈を私にぶちまけ、最後に私が西荻窪で降りる時には、笑顔で「Thank you, see you later!」と言ってくれた。 私にとっては慰労会の記憶も全て吹っ飛び、家に帰ってもしばらくその不遜な男性に対して怒りが収まらず、女の子のことを考えると心が痛み、なかなか眠りにつけないショッキングな体験だった。 だが次の朝を迎えもう一度すべてを考え直し、まあそういうことに出会うのも私の運命なんだろうなと苦笑した。よりによって私の乗ったドアの真横でそんなトラブルに出会わなくてもいいようなものだが、それも私の日常らしいハプニング。かな。
by the-beat-goes-on
| 2005-09-23 12:50
| Daily beats
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