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土曜日。髪を切ってきた。
ロックな感じのウルフショートにしてください、と言ったら、ロックな感じのウルフショートになった。革ジャンにチェックのクロップドパンツ、ハードなエンジニアブーツと主張のあるピアスを合わせたい感じ。よし、服を買うぞ。 普段雑誌を読まない私だが、美容院でたまに読むぶんには面白いと思う。そこでこんな文章に出会った。 日も傾きかけるころ、女一人で蕎麦屋に入り、冷酒を一合注文する。蕎麦がきや焼き味噌なんかをつまみに、ゆっくりと冷酒を味わう。飲み終わるころに蕎麦が一枚運ばれてくる。食べ終わったら、だらだらせずに店をあとにする。 これができるようになる、ということは、自分と向き合う時間が持てるようになる、ということだ。日常の中の嫌なこと、悩みごと、疲れ。それらをすべて洗い流すための、自分一人のためだけの時間。蕎麦屋を出るときには、違う自分になっている、と。 これは、先日逝去された杉浦日向子さんの好んだ時間の使い方だったようだ。快楽主義と自らを称し、楽しむことに人生の重きをおき、人を傷つけず、自らと自らの文化を表現しつづけ、46歳で逝った彼女。西荻窪の鞍馬という蕎麦屋で一人冷酒をたしなむ杉浦さんの姿を投影すると、胸がちりちりする。 この記事を読んでいるとき、あることに気がついた。 私は昔から、こういう時間を持つことに憧れた人なのだ。何にも邪魔されない、一人だけの時間。仕事からも日常からも遠くはなれ、自分と向き合う時間。 ただそれを実践しようとしたのが早すぎたのかもしれない。24、25くらいのときには本一冊かかえてコーヒーの美味しい渋めな喫茶店で、一人の時間を過ごしていたものだ。ただ、なにか背伸びをしたかったその自分自身の幼さをつねに背中に背負っていた。 ------------------------------------------------------------------------ 日曜夜。横浜赤レンガ倉庫にあるモーションブルーヨコハマに、テナーサックスの巨匠ルータバキンのライブを見に行った。 初めて、湘南新宿ラインというものに乗った。新宿から横浜まで30分弱。この路線が12時くらいまで定期的に走ってくれていれば、横浜がさらに近く感じられるのになあ。帰りの電車を気にする気持ちが、横浜を遠くしている。 早く着いてしまいそうだったので、あえてみなとみらい線には乗らず、桜木町から歩く。この15分が気持ちいい。カップルたちの間をすり抜けながら、一人で観覧車に乗るのも乙だなあと思いつつ、ぶらぶら歩く。それでもまだ時間がある。ワールドポータースのなかにあるスーパーで、ハイネケン186円を一本お買い上げ。海を目指し、赤レンガの向こう側に出る。 海沿いの柵が斜めになり寄っかかるのにちょうどいい場所を見つけ、ぶしゅっと缶を開ける。目の前の「横浜赤れんがピア」というクルーズ船乗り場からは、場違いなクラシックの交響曲が大きめの音量で流れており、多少シュールな可笑しさを演出している。目の前、海。右に大桟橋。そして空には、中秋の名月。後ろにライトアップされた赤レンガ倉庫。左手には186円のハイネケン。そのシチュエーションに一人で在ることに満足をおぼえ、月光を浴びながら思いを巡らせる。なにも高級レストランで食事をしてインターコンチに泊まらずとも、横浜までの電車賃とハイネケン186円、タバコ1本で買える極上の時間もある、と思った。 モーションブルーでは、白ワインをデカンタで頼んだ。 いつもだったらビールなのだが、なにか私の頭の中で杉浦日向子さんのスタイルがちらつく。そろそろ粋な酒の飲み方をしたい、と思った前日の感覚がよみがえる。良いものを食し、良いものを味わえば、量はいらない。そしてだらだらしない。ポイントが質におかれるようになるからだ。 アジのグリエ、テリーヌ、クロックムッシュと味わう白ワイン、絶品。モーションブルーは最高に食べ物がおいしい。 そしてライブ。言うことなし。テナーフロントのピアノレストリオは大好き。コード楽器がないなかでのベースの役割は大変重要になってくるが、Boris Koslovのベースはその表現する世界のなかで、きっちりとコード感を出してくる。Lew Tabakinに関してはマスターオブジャズと言わせてもらおう。大変お元気そうである、今後ともぶりぶりと吹きつづけていっていただきたいものだ。 終了後、Borisが駆け寄ってくる。やっぱり気づいてた。ショーの間から、確かめるようにこっちを見ていたのだ。ロシアの生んだ、素晴らしいジャズベーシスト。いまやNYに住んでいるミュージシャンのなかで、一番と言っていいほど仲が良い。人なつっこい笑顔、透き通るようなブルーアイで、よくしゃべる、しゃべる。今回は缶チューハイが気に入ったようで(青リンゴ味)いつもコンビニに行ってはホテル用に仕入れているらしい。彼の奥様も良く知っている。カザフスタン出身の奥様、働きながらインテリアデザインを勉強し、学校を卒業したとのこと。外国で脇目もふらず自分の目標に向かって努力しつづけているこの二人が、私はとても好きだ。 Lewも来た。覚えていてくれていた。シガーをくゆらせブランデーを飲み、ときにシリアスに、ときにユーモアたっぷりに話し続ける彼も、最高に素敵。ジャズの、音楽の将来についての厳しい提言もいただいた。Lewさん、ありがとう。まかしといて。 そんなこんなで気がつくとお店はほぼ閉店状態。でもBorisのおしゃべりが止まらない(笑)。お尻をたたくような状態にて、店を出て、sweetなお二人に別れを告げ、閉園後のコスモワールドを横目に見ながらみなとみらい駅まで歩く。素敵なことに、渋谷行きの特急がまだあった。帰りの面倒臭さが半減、軽快に、帰宅した。 おいしいお食事とお酒をいただきながら、極上の音楽を楽しむ。 世の中にこんな贅沢があってよかった、と思う。 そしてこのモーションブルーで働いている子たちは、そんなに素敵な余暇の楽しみ方があるのだということを知る。ここが一番大切だ。一流を知る。 クラブが悪いとは言わない。良いと思う。ただ、踊ってナンパしてという夜の過ごし方があるなら、こんな過ごし方もあるんだ。そこで人としての幅が広がる。 さらに一流を知っていこう、と思う。そのために学ぶことも多い。安月給で働いている私なんかがそれを知ろうとすることは、背伸びかもしれない。ただ知らなければいけない年齢に差しかかっている。 一流のものにより触れたい。一流の作品から受けるエネルギーで、心をチャージしたい。 心の豊かさってそういうものなんじゃないかと思う。 さらにはモーションブルーの音楽・ワイン・お料理、西荻窪の鞍馬での冷酒・焼き味噌・蕎麦、さらには赤レンガ倉庫裏での海・ハイネケン・中秋の名月、すべて一緒だと感じることが、もっとも大切にしたい感覚である。 最後にモーションブルーのまーくん、Oマネージャー、バーテンのYくん、Thank you as always! みなさんあの絶品の料理と音楽、さらにはロケーションを是非堪能しに行ってください。病み付きになること間違いなし。more info>>>
by the-beat-goes-on
| 2005-09-19 11:26
| the_beat_goes_on
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